「契約書が多くなってきて、確認しようと思っても探すのに時間がかかる」
「契約書の送付や書類不備の訂正で郵送していると時間も費用もかかる」
「社内での保管場所が確保できない」
企業にとって契約書は必ずついて回る存在です。機材を購入すれば「売買契約書」、人を雇えば「雇用契約書」、外注に頼めば「業務委託契約書」と、何かにつけて契約書が必要となります。
最初はバインダーに閉じて鍵付きの引き出しにいれておけばよかったものが、数が増えるにつれて書庫を購入することとなったり、会社の1部屋を保管庫に変えたりと、企業として活動すればするほど、保管が大変になってきます。そうするうちに、あの契約書はどこにあるかな、と探す作業で何十分と費やすことにもなりかねません。
また、せっかく契約が取れても書類の記入、発送に時間がかかり、内容を間違えようものなら再送して、としているうちに顧客が冷めてしまい、キャンセルになるという可能性も見過ごせません。せっかく取れた契約をスムーズに履行するためにも、契約書の締結を素早く完了させることが求められています。
今までは契約書は紙ベースのものしかなかったので、上記の問題点が解決しませんでしたが、クラウドサインが電子契約書作成サービスとして出てきたことで、契約書の保管、締結が非常に楽になりました。
- 電子契約書がクラウド上に保管されるため、紙ベースの契約書に比べて保管コストがかからない。また、データを分散化して保存されているため、紛失リスクも低い。
- 契約書の送付はこちらが指示したクラウドにアクセスしてもらえば郵送の必要がなく、速やかな締結が可能となる。
- クラウド上の電子データのため、検索をかけることで瞬時に該当の契約書を探すことができる。
クラウドサインを一言で言うと、「高いセキュリティと保管機能を持った電子契約書作成サービス」です。
今回クラウドサインの機能や特徴、メリットやデメリットを解説します。
クラウドサイン(CloudSign)とは。価格や機能について
クラウドサインとは、弁護士ドットコム株式会社が運営しているサービスです。日本の会社ですので、日本の商習慣に基づいて構築されています。
サービス名 | クラウドサイン |
---|---|
運営会社 | 弁護士ドットコム株式会社 |
電子契約書の送信 | 〇 |
契約書テンプレート作成・管理 | 〇 |
タイムスタンプ機能 | ◯ |
契約書検索機能 | ◯ |
紙ベース契約書のインポート | ◯(オプション契約) |
外国語の契約書類送信・締結 | ○(英語・中国語) |
外部サービスとの連携 | 〇 |
電話サポート | 〇 |
費用 | 初期費用0円・月額費用0円~100,000円 |
電子契約書の送信
電子契約書サービスの基本でもありますが、作成した電子契約書は先方へメール経由で送信が可能です。
受信側はクラウドサインとの契約がなくても利用可能です。契約締結時に双方に契約書が送信され、クラウド上にも契約書は保管されます。
契約書テンプレート作成・管理
契約書は場面ごとに色々な種類のものがあります。そのたびにネットでテンプレートを探すことも良くありますが、クラウドサインでは契約書の公式テンプレートを利用できますので、内容が自社にとって問題なければ即時使用可能です。
また、自社用のテンプレートもあらかじめ登録できるので、一度登録すればこちらもすぐに使用可能です。
タイムスタンプ機能
タイムスタンプとは、その契約書が締結された日時をハッシュ値と呼ばれる文字列に変換することで、改ざん不可能な状態にして残すことができる機能です。この機能により、契約書の安全性をより一層高めることが可能です。
契約書検索機能
クラウドサインでは画面上部に検索窓があり、そちらから簡単に検索することが可能です。今までバインダーをめくって探していた時間を別のことに割り当てることができるようになります。
紙ベース契約書のインポート
今までの紙ベースの契約書に関しても、PDFにしたものをクラウド上にアップロードして保管することが可能です。
ただ、これはオプション機能ですので、1000件までの保管が別途月額10,000円かかり、1000件ごとに費用が月額10,000円上乗せになります。
外国語の書類送信・締結
グローバル化しているこの時代では海外でも契約している企業は多く存在します。
有料プラン限定ですが、英語と中国語に関してはクラウドサインでの契約が可能です。
外部サービスとの連携
企業によっては、契約書をワークフロー上で上長に確認依頼を行うことも多くあります。そういった時に連携できるようWeb APIの提供を行っています。
また、それとは別に公式に連携しているサービスもあります。
電話サポート
電話サポートには対応しています。ただし、多くのサービス同様電話が混みやすいので、チャットでのサポートが推奨されています。
チャットは公式サイト右下の「?」マークから開始することができます。
費用
無料プランとStandardプラン、Businessプランの3つがメインです。Integration servicesというSFAなどとの連携プランもありますが、こちらは完全お問い合わせ形式の高度なプランなので、ここでの紹介は割愛します。
無料プランは契約の送信はできるものの、電子署名のみでタイムスタンプがついていないので、厳密な契約には不向きです。しかし、試しに使用してみる分には十分な機能を備えています。また、無料プランでは契約書の送信は月に5件までしか送信できません。
Standardプラン(月額10,000円)に関しては契約書の送信、タイムスタンプ機能、テンプレートの作成と管理、Web APIの提供や外国語対応など、基本的な機能がそろっています。
Businessプラン(月額100,000円)はStandardプランの内容に加え、承認権限の設定やIPアドレス制限、アカウント登録制限など、よりセキュリティ面で強固にしているプランです。
また、これに加えて、有料プラン共通で契約書の1送信ごとに200円が費用として発生します(送信回数の制限はありません)。
クラウドサイン(CloudSign)の登録、使い方
クラウドサインの登録はトップページ中央画面にメールアドレスとパスワードを入力し、横の「新規登録」ボタンを押すことですぐに開始できます。
その後、管理画面のトップに「アップグレード」というボタンがあるので、有料に変更する場合はそちらから手続きを開始します。
また、クラウドサインの使い方に関して、公式がyoutubeにアップロードしています。
公式チャンネル上に他の機能についても解説されていますので、そちらでも確認をすることができます。
クラウドサイン(CloudSign)の評判
クラウドサインの評判は以下の通りです。
- 契約書に割り印を押したり製本したり、切手の購入や郵送しなくて良いので、工数がかなり削減できた。ペーパーレスにできるのもいい。
- 先方との契約書や、雇用契約書の管理を一つのツールで行うことができる。国内の情報管理法に対応しているので、上場準備企業や上場企業でも安心して使うことができる。
- 素早く作成できるため、時間とコストを削減できました。
- 契約書の取り交わしがペーパーレスで行えることによって、外出先でも気軽にファイルを開いて署名ができるのでその分早く案件が進みます。また、作成も基本的にはクリックで進めていけるので非常に直感的でわかりやすいです。
- 初めて契約書の作成で利用した時に、入力フィールドに対応する内容が何を入れていいのか(指定していいのか)少々わかりづらかったです。
- 1通送信につき料金がかかるので、誤った内容の契約書を送ってしまった時に少しもったいないなと思う。この点についてなにか改善点があるとなお嬉しい。
- オンラインのサインをする際に、印鑑を押すことができない。手打ちの名前だけなので、印鑑必須の相手先などの場合、一度紙に印刷する必要があるので手間が発生する。
評判を見ていて多いのが、ペーパーレスになることで管理や送付が楽になるという意見でした。また、切手や印紙の購入が少なくなったことでコストの低減にもつながったという意見もあります。
クラウドサイン(CloudSign)のメリット
契約書の保管コストが抑えられる
通常、契約書は一般社員が安易に立ち入れないようにして保管するのが常です。しかし、専用にスペースを設けるとなるとどうしてもコストがかかってしまいます。クラウドサインでは保管はクラウド上なので、スペースを取ることがありません。
また、保管するサーバーも分散化しているため、災害時の紛失リスクも低減できる仕組みになっています。
無料で始めることができる
サービスを検討する際には使ってみないと中々イメージが湧きませんが、無料プランがあるため、気軽に始めて検討することが可能です。
スピーディーに契約を締結することができる
基本的に契約締結までの期間が長ければ長いほどキャンセルのリスクは高まります。しかし、クラウドサインではテンプレートから呼び出し、名前を記入することで契約が締結可能なので、契約までの滞空時間を短縮し、キャンセルを低減させる効果も期待できます。
強固なセキュリティ体制がある
電子署名やタイムスタンプなどの機能やSSL(暗号化)通信など、最新の技術を取り込んであるので、セキュリティ面は強固なものになっています。
弁護士が監修している
運営している弁護士ドットコム株式会社は、インターネット上で「弁護士ドットコム」という法律相談のサービスとして実績を積んでいます。当然弁護士がいますので、公式でのテンプレートを含めたサービス全体が法律に準拠したのものなので安心して使用可能です。
クラウドサイン(CloudSign)のデメリット
相手が契約形態にこだわると十分に機能が活かせない
電子契約が大分広まったとはいえ、まだまだ「印影がないと社内の稟議が下りない」ということになる企業も多く存在します。そういった場合、機能が十分に活かせず、紙ベースの契約書と併用することになる可能性があります。
アカウントの管理が十分でないとセキュリティが弱くなる
WEB系サービス全般に言える話ですが、アカウントのパスワードをよく使用するものにしていたり、デスクマットに挟んだりという感覚でアカウントを管理しているとセキュリティリスクが高まります。
金庫の鍵や保管庫の鍵を持つのと同レベルの意識を持たせられるかどうかが重要です。
契約書の送信料金がその都度かかる
契約書を送信するごとに200円かかってしまうので、送り直しが多いと費用が大きくなります。
実際の話としては紙ベースでも送付すれば簡易書留で400円~600円ぐらいはかかるのでむしろ安いのですが、ついメール感覚で確認不足のまま送信してしまうケースが多いのかもしれません。
相手に手間を取らせないためにも契約書のダブルチェックなどの仕組みは必要だと言えます。
クラウドサイン(CloudSign)がおすすめできる(できない)企業
冒頭でお伝えしたとおりクラウドサインは高いセキュリティと保管機能を持った電子契約書作成サービスです。
なのでクラウドサインの利用をお勧めする企業は、
- 契約書が多くなってきて、確認しようと思っても探すのに時間がかかる
- 契約書の送付や書類不備の訂正で郵送していると時間も費用もかかる
- 社内での保管場所が確保できない
という悩みをお持ちの企業です。その一方で、紙ベースでの契約にこだわる顧客が多い企業や、新規の契約書の作成数が多くない企業に関しては現時点では向いていないと言えるでしょう。