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顧客が値引き要求する時のパターンとされた時の付き合い方

営業業務に携わるビジネスパーソンにとって、顧客からの値引き要求を受けることは必ずといっていいほど直面するだろう。値引き交渉は商談における重要なシーンの一つであり、関係者それぞれのパーソナリティが影響することから、まさにケースバイケースと呼べるイベントだが、どのように取り組むべきだろうか。

ビジネス書などでは値引きなしでも売れる製品やサービスを謳い、目標としたいところだと思うが、現実的に値引きを無くすことは難しい。本記事では、著者の実経験をベースにし、交渉時やその後の付き合い方まで検証してみる。

シチュエーション

前提条件として、今回扱うのは企業向けのBtoB(Business to Business)製品である。専門性の高いシステムで、価格帯は数百万円~一千万円程度、競合他社が3社程度存在する。

今回は次の様な商談プロセスを想定しており、現在①の状態にあるものとする。

 【想定した商談プロセス】
 ①システムの提案
 ②担当者による業者選定
 ③担当部署のマネージャーの承認
 ④経営層の承認
 ⑤発注

バッドケース

担当者に対し典型的な提案を行い、おおよその選定決定時期を告げられた。選定時期に差し掛かり、担当者から部署の予算内に収めなければならないとの理由から値引き要求がなされた。必要なことと思い、値引きに応じた。

後日、担当者から上司に値引きするよう指示があったと連絡があり、止む無く値引きに応じた。その後、担当者から経営層の承認は通ったが、調達部門である購買部から連絡がある、との話があった。

購買担当者から連絡を受けると「規程で15%の値引きをしてもらう必要がある」と言われ、既に値引きがあり、難しいことを伝えたものの合意は得られず渋々値引き要求に応じ、受注した。

問題点の分析

本件の評価として、”顧客都合により仕方がない、最終的に受注できたため良し” という判断もあるかもしれない。しかし、次の様な点で問題があると考える。

問題点1.顧客の内部プロセスを把握できておらず、対応が後手になり予定外の値引きに応じた

→事前確認が不十分だった

後出しとなってしまうが、原因は当初想定した商談プロセスと実際の認識齟齬、事前確認がなかったことに起因する。例えば次の様なアクションができた可能性がある。

【実際の商談プロセス】 ←【アクション】
 ①システムの提案 ← ①’ 自社仕様を見積仕様とする交渉。競合他社の排除
 ②担当者による業者選定 ← ②’ 担当部署の予算、発注までのプロセスを確認
 ③担当部署のマネージャーの承認 ← ③’ マネージャーとの面談、情報収集
 ④経営層の承認
 ⑤調達部署との折衝 ← ⑤’ 購買交渉
 ⑥発注

問題点2.受注できなかった場合の情報流出のリスク

→不用意な値引き金額の提示はすべきでない

機能仕様が同程度の場合や、入札案件では価格の僅差で勝敗を分けるため、値引き額は重要な競合情報である。競合他社と見込顧客が懇意にしている場合、購入するつもりがなくとも情報収集の目的で値引き要求をされるケースがあるため情報提供には注意が必要である。

問題点3.高い値引き実績が残る

→今後の取引が低価格基準になってしまうので、過度な値引きは断る。但し、調達部門にも配慮し多少の値引きは見積もっておく。

調達部門での勤務経験はないが、業務上のやりとりから、ノルマやルールがあり、相見積、過去見積、過去の値引割合、最低値引き額などを管理し、値引き交渉時の材料として使われていると推察する。

仮に本件のような実績ができた場合、今回限りの特価である旨を自明にする必要がある。そうでなければ、今後同社とは値引き実績の金額を最低ラインとし、それ以上の割合での値引き交渉を余儀なくされる可能性が高いのである。技術・仕様を説明し納得してもらえるとよいが、非常に稀なケースであると考えられる。

しかし担当部門からすれば購入できないと業務に支障がでるため、購入しないわけにはいかないのが現実である。値引き額が購買担当者の評価となる企業もあるため、購買担当者の立場も配慮する必要はある。

配慮が足りなかった実体験として、値引き要求を全て断り続けた結果、反発した購買担当者によって半年以上処理を後回しにされ苦戦したことがある。

対応対処

調達部門の役割などは先述の通りなので、本項では営業担当者が特に意識すべき担当部門に限定する。遭遇する典型的な値引き要求のパターンと対応・対処を以下に示す。

担当者が値引きしてくるケース

1.競合と相見積もりをし価格比較している時

①既に他社に概ね決定しており勝ち目の薄い当て馬
→基本的に値引きには応じない。
但し自社が低価格路線の方針があれば、今後の為の基準価格で提示する。

②公平な比較検討対象
→十分に検討し、値引き要求に応じることも視野に入れる。
但しまずは通常の値引きで対応する。

①について、
劣勢から逆転による案件獲得はビジネス上さほど珍しくはない。しかし本テーマにおいて特記すべきは、営業戦略的に重要な顧客という理由で、破格の値引きをする場合はその後の付き合いを十分考慮すべきであるという点だ。
「次の案件につながればそこで利益を確保できるから」というのはありがちな値引き理由だが、様々な面で不確定要素が多すぎるため、非常にリスクが高いと考えるべきである。次の案件が顧客社内で決定事項なのか、担当者が異動し消滅しないか、その場しのぎのコメントといえないか、などに信憑性が低い。
仮にこの商談が受注できれば、獲得はできたものの以後この価格が基準になり付き合い難くなる可能性は十分ある。

②について、
商談が後発になってしまったが、担当者の本意や核心を見抜くことで奪取することの可能性が十分見込める。ただ、担当者の脳内で先行業者のイメージや先入観ができており、価値観を覆すため具体的な提案をする必要がある。担当者も正しい判断をしたいため、凡そ腹を割って話してくれる場合が多く、時間や値引きの価値は十分にあるとみれる。

2.部署、プロジェクトの予算以下にする必要があるとき

→基本的に機能削減の値下げで対応する

購入する意思があるが金額が見合わない状況が見えるため、極力協力すれば顧客との関係性強化にもつながると見られる。まずはオプション機能などの取捨選択や優先順位付けで、一部を次期購入案件に見送るなどし、無理なく長い付き合いを見据え進めていくと互いにパートナーとして良好な関係を醸成できるだろう。
     

担当者の上司が値引きしてくるケース

1.特に理由もなく金額が下がるかどうか試しているとき。社内権力の誇示

→上司に関して情報収集し吟味する。値引きは必要に応じて受ける。

上司のパーソナリティか、あるいは企業文化、通例として理由ない値引き要求をされる場合はある。通例としてであれば、値引きは拒否しても影響は無い。だが、他の2つについては非常にややこしいため、いかに周辺の情報収集ができるかが鍵となるケースである。

上司のパーソナリティ、企業文化とは、値引きによって相対的に自分の地位が高いと認識させたり、社内権力を内外に誇示するといったような意味合いである。上司と友好な関係になれば要求のハードルが極端に下がることもある。稀に担当者の昇格試験的な意図で行われる独特な企業文化も存在したことがある。

この様な人物は意外にも社内影響力が高く、上司が今の地位にいる理由でもある。不利益を予防しておけば有利に働く見込みもあるので検討はすべきである。

2.浮いた予算で別の利用を考えているとき

→自社で購入し、パッケージ価格で販売する。

上司の中で別の用途が非常に重要な場合、いかようにも理由をつけて要求を迫ってくる可能性がある。別の用途を自社製品でカバーできるか、あるいはその購入予定のものを調達しパッケージで販売することが可能か一度検討すると良いだろう。

それも難しい場合は、担当者には悪いが上司事情を優先と考えれば機能削減により価格を下げる方針で進めることを考える。

3.直接関係のない外的要因の影響で、本件を見送る必要性が出たとき

  
→関係構築のため、腹を割って話す。率直に理由を聞く。

具体的には、別の優先案件に予定以上予算が割かれ、不足してしまった場合、あるいはプロジェクトが消滅の方向に進んでしまっている場合などがあたる。事態が復旧できる可能性があるのか、どこに掛け合うか対象が見込めていれば行動を起こす意味はあると考える。

もし検討がつかないし、全く情報もないということであれば、今後のため理不尽な事情でキャンセルとなったことで、上司も多少の負い目を感じている可能性が高いため、上司との関係構築に方針転換すべきである。

まとめ

値引きは商談上避けては通れない交渉事であるが、ある意味では顧客との関係強化につながるメリットがある。

但し、どのような事情で、過去どういった値引きをしたかという履歴は管理しておかないと担当が代ったり、後任にとっては収拾つかない状況になり得るリスクがあるため、その場限りとせず戦略的に検討する必要がある。

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